病院に行かなくても薬局で買える、医療用と同じ成分の市販薬を調剤薬局の管理薬剤師が解説します。

市販薬のPL顆粒と医療用のPL配合顆粒は本当に同じ?薬剤師が徹底解説

市販薬のPL顆粒と医療用のPL配合顆粒は本当に同じ?薬剤師が徹底解説
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風邪をひいたときによくPL配合顆粒を病院でもらうのですが、同じものは処方せんなしで薬局やドラッグストアで買えますか?
買えるなら病院に行かなくて済むので助かるのですが。

『PL配合顆粒』ですね。市販薬(一般用医薬品)には、パイロンPL顆粒、パイロンPL錠、パイロンPL顆粒Pro、パイロンPL錠ゴールドの4商品がありますね。

どの商品が医療用のPL配合顆粒と同じなのかを解説していきたいと思います。

この記事書いた人
phama_di(ファマディー)

<プロフィール>

  • 大手調剤薬局の管理薬剤師
  • 管理薬剤師歴は10年以上
  • 一般用医薬品も幅広く販売

スイッチOTC成分を正しく使って上手にセルフメディケーションをするお手伝いをしていきます。

医療用のPL配合顆粒』の有効成分であるサリチルアミド、アセトアミノフェン、無水カフェイン、プロメタジンメチレンジサリチル酸塩は一般用医薬品として使用可能な成分です。

処方せんが無くても薬局やドラッグストア、インターネットでの購入が可能です。

(結論)医療用のPL配合顆粒と同じ商品はパイロンPL顆粒Proです。

医療用(先発品)

  • PL配合顆粒

医療用(後発品)

  • サラザック配合顆粒
  • セラピナ配合顆粒
  • トーワチーム配合顆粒
  • マリキナ配合顆粒
目次

医療用のPL配合顆粒ってどんな薬?

医療用PL配合顆粒(塩野義製薬WEBサイトより)

医療用のPL配合顆粒とは

PL配合顆粒は非ピリン系の総合感冒薬で、日本薬局方に収載されていた「複方感冒散」、「複方アスピリン・フェナセチン・カフェイン散」の組成を基にした製剤。

  • アスピリンよりも腎障害などの副作用が少ないサリチルアミドをアスピリンの替わりに配合。
  • フェナセチンをより副作用の少ないアセトアミノフェンに変更。
  • ジフェンヒドラミン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩に替えて、抗ヒスタミン作用、副交感神経抑制作用、鎮痛効果の増強作用があるといわれているプロメタジンメチレンジサリチル酸塩を配合。

医療用の総合風邪薬と言えばPL配合顆粒と言われるくらい名前が知られた医薬品です。

医療用PL配合顆粒の組成(含有成分と量)

成分 1包(1g)中分量
サリチルアミド270mg
アセトアミノフェン150mg
無水カフェイン60mg
プロメタジンメチレンジサリチル酸塩13.5mg
  • サリチルアミド:解熱鎮痛成分
  • アセトアミノフェン:解熱鎮痛成分
  • 無水カフェイン:鎮痛補助成分
  • プロメタジンメチレンジサリチル酸塩:抗ヒスタミン成分(鼻水と止める)

通常,成人には1回1gを1日4回経口投与する。なお,年齢,症状により適宜増減する。

医療用のPL配合顆粒は多くの場合1日3回食後で処方されますが、添付文書上は1日4回の服用です。

パイロンPLシリーズ(一般用医薬品)について

市販薬(一般用医薬品)のパイロンPLシリーズには3種類あります。

  • パイロンPL顆粒
  • パイロンPL錠
  • パイロンPL顆粒Pro
  • パイロンPL錠ゴールド

順番に見て行きましょう。まずはパイロンPL顆粒です。

パイロンPL顆粒

成分 1回1包(0.8g)分量
サリチルアミド216mg
アセトアミノフェン120mg
無水カフェイン 48mg
プロメタジンメチレンジサリチル酸塩10.8mg

成人(15才以上):1包:3回
15才未満:服用させないこと

医療用PL配合顆粒とパイロンPL顆粒を1回量当たりで比較してみますと、医療用PL配合顆粒の0.8倍の量しか入っていません。これは、1回分を0.8g(1包)に減らしたためです。

市販薬のパイロンPL顆粒は医療用のPL配合顆粒の0.8倍の強さであるということです。

仮に、この商品の1包が1.0gであったとしたら、医療用PL配合顆粒と全く同じという事になります。

パイロンPL錠

成分 1回(2錠)中分量
サリチルアミド216mg
アセトアミノフェン120mg
無水カフェイン 48mg
プロメタジンメチレンジサリチル酸塩10.8mg

[年齢:1回量:1日服用回数]
成人(15才以上):2錠:3回
15才未満:服用させないこと

パイロンPL錠の1回量(2錠中)には、パイロンPL顆粒の1回量(0.8g)と同じ成分が同じ量だけ入っています。

パイロンPL錠とパイロンPL顆粒の違いは剤型のみということになります。

よって、市販薬のパイロンPL錠も医療用のPL配合顆粒の0.8倍の強さであるということです。

パイロンPL顆粒Pro

成分 1包(1g)中分量
サリチルアミド270mg
アセトアミノフェン150mg
無水カフェイン60mg
プロメタジンメチレンジサリチル酸塩13.5mg

[年齢:1回量:1日服用回数]
成人(15才以上):1包:4回
15才未満:服用させないこと

パイロンPL顆粒Proは1日4回となっています。また、1包は1gです。

医療用PL配合顆粒 成分 1包(1g)中分量
サリチルアミド270mg
アセトアミノフェン150mg
無水カフェイン60mg
プロメタジンメチレンジサリチル酸塩13.5mg

1回量で比べてみると、医療用のPL配合顆粒とパイロンPL顆粒Proとでは成分、量ともに同じになりました。

1日4回服用できるという点でも同じです。

よって、医療用のPL配合顆粒と同じ商品はパイロンPL顆粒Proです。

医療用のPL配合顆粒と同じ商品が欲しい場合には、パイロンPL顆粒Proをご購入ください。

↑これが医療用のPL配合顆粒と同じです↑

パイロンPL錠ゴールド

成分 1回(2錠)中分量
サリチルアミド216mg
アセトアミノフェン120mg
無水カフェイン48mg
プロメタジンメチレンジサリチル酸塩10.8mg
デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物16mg
ブロムヘキシン塩酸塩4mg
  • デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物:咳止め
  • ブロムヘキシン塩酸塩:去痰薬

[年齢:1回量:1日服用回数]
成人(15才以上):2錠:3回
15才未満:服用させないこと

パイロンPL錠ゴールドは、パイロンPL錠に2つの成分を追加したものとなっています。

その2つの成分は、咳止めのデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物ブロムヘキシン塩酸塩

デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物は医療用のメジコン錠と同じ成分。

ブロムヘキシン塩酸塩は医療用のビソルボン錠と同じ成分です。

せき、痰の症状がある方は、パイロンPL錠ゴールドの方をおすすめします。

医療用のPL配合顆粒と市販薬の違い

ここまで、医療用のPL配合顆粒と市販薬のパイロンPLシリーズの商品を比較してきました。

医療用のPL配合顆粒と同じ商品はパイロンPL顆粒Proです。

効能・効果が異なる

効能・効果と言っても、効き目が違うわけではありません。どんな症状に使用できるかです。

医療用医薬品のPL配合顆粒は以下の疾患で使用されます。

感冒若しくは上気道炎に伴う下記症状の改善及び緩和
鼻汁,鼻閉,咽・喉頭痛,頭痛,関節痛,筋肉痛,発熱

パイロンPL顆粒、パイロンPL錠、パイロンPL顆粒Proは以下の疾患に使用できます。

かぜの諸症状(のどの痛み、発熱、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、悪寒(発熱による寒気)、頭痛、関節の痛み、筋肉の痛み)の緩和

パイロンPL錠ゴールドには咳止めと去痰薬が配合されていますので、以下の疾患に使用できます。

かぜの諸症状(せき、たん、のどの痛み、発熱、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、悪寒(発熱による寒気)、頭痛、関節の痛み、筋肉の痛み)の緩和

服用できる年齢が異なる

医療用のPL配合顆粒には添付文書上、服用できる年齢に制限はありません。幼児用PL顆粒もあります。

それに対して市販薬のパイロンPLシリーズを服用できるのは15歳以上です。

一般用医薬品のパイロンPLシリーズは15歳未満の方は服用できません。量を減らして飲ませてもいけません。その点はご注意ください。

パイロンPLシリーズを使用してはいけない人

パイロンPLシリーズを使用できない方もいます。購入時は薬剤師等から説明を受けて購入してください。

1.次の人は服用しないでください
 (1)本剤または本剤の成分によりアレルギー症状をおこしたことがある人
 (2)本剤または他のかぜ薬、解熱鎮痛薬を服用してぜんそくをおこしたことがある人
 (3)次の診断を受けた人:排尿困難、胃・十二指腸潰瘍、緑内障
 (4)15才未満の小児
2.本剤を服用している間は、次のいずれの医薬品も使用しないでください
 他のかぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮静薬、鎮咳去痰薬、抗ヒスタミン剤を含有する内服薬など(鼻炎用内服薬、乗物酔い薬、アレルギー用薬など)
3.服用後、乗物または機械類の運転操作をしないでください(眠気などがあらわれることがあります)
4.服用前後は飲酒しないでください
5.長期連用しないでください

※パイロンPL顆粒Pro

製品によって異なりますので、実際に使用される商品の説明書をよく読んで使用してください。

パイロンPLシリーズ 一般用医薬品のまとめ

  • 医療用のPL配合顆粒と同じ商品はパイロンPL顆粒Proです
  • 市販薬(一般用医薬品)のパイロンPLシリーズは15歳未満の方は服用できません。
  • パイロンPL錠ゴールドには咳止めと去痰薬が配合されています。

医療用と同じがよければ、パイロンPL顆粒Proを。咳と痰の症状もあるならパイロンPL錠ゴールドをおすすめします。

市販薬のPL顆粒と医療用のPL配合顆粒は本当に同じ?薬剤師が徹底解説

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一般用医薬品購入時の注意点

このサイトでは病院でもらう薬と同じ成分の薬を処方せん無しで購入できるかどうかを紹介していますが、その薬を推奨している訳ではありません。

体質や服用中の薬によっては使用できないものもあります。

一般用医薬品を購入する際には医師・薬剤師・登録販売者に相談をしてください。

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この記事を書いた人

pharma_di(ファマディー)
大手チェーン調剤薬局の管理薬剤師。
保険調剤だけでなく市販薬の販売も行っています。

国は医療費削減のため、これからセルフメディケーションを推奨してくるはず。これから自己負担の割合も3割から上がるかもしれません。

この記事を読んでくれた皆様が上手なセルフメディケーションができるよう、薬剤師という立場から市販薬を選ぶポイントを解説しています。

他にも、薬剤師のための転職ブログ(ファマブロ)も運営しています。

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