のどの痛みがつらいのですが、以前耳鼻科ではトランサミン錠をもらいました。同じ成分の薬は市販薬にありますか?
『トランサミン錠』ですね。
では今回は、『トランサミン錠』の成分(トラネキサム酸)の市販薬について解説していきたいと思います。
<プロフィール>
- 大手調剤薬局の管理薬剤師
- 管理薬剤師歴は10年以上
- 一般用医薬品も幅広く販売
スイッチOTC成分を正しく使って上手にセルフメディケーションをするお手伝いをしていきます。
医療用の『トランサミン錠』の有効成分であるトラネキサム酸は2007年にスイッチOTC化されています。
トラネキサム酸含有の市販薬は処方せんが無くても薬局やドラッグストア、インターネットでの購入が可能です。
医療用(先発品)
- トランサミン錠250mg
- トランサミンカプセル250mg
- トランサミン錠500mg
- トランサミンシロップ5%
- トランサミン散50%
医療用(後発品)
- トラネキサム酸錠250mg
- トラネキサム酸カプセル250mg
- トラネキサム酸錠500mg
- トラネキサム酸シロップ5%
- トラネキサム酸細粒50%
結論
トラネキサム酸単剤の一般用医薬品はありませんでした。
トラネキサム酸は風邪薬の一つとして配合されている商品が多いため、ここではのどの痛みを取る目的に特化した知市販薬を紹介したいと思います。
トラネキサム酸ってどんな薬?
トラネキサム酸はのどの痛み、腫れ、口内炎など口腔内の炎症を抑える成分です。主に急性の風邪による咽頭炎や扁桃炎に効果があるとされています。
痛み止めではありませんので、頭痛など他の痛みには効果はありません。
また、口内炎の治療には外用薬の方が良いという報告もあります。
トラネキサム酸含有の市販薬(口腔咽頭薬)
トラネキサム酸含有の市販薬はたくさんありますが、全て配合剤です。
トランサミン錠と同じ成分であるトラネキサム酸単剤の商品は残念ながら販売されていませんでした。
ここでは、のどの痛みを抑える目的(口腔咽喉薬)のうちトラネキサム酸含有の市販薬を紹介していきます。
- アスゲンT錠
- オラキュア錠
- オロファニックTX錠
- トラフル錠
- ハレナース
- パブロンのど錠
- パルウィンTX錠
- ペラックT錠
- ペラックT細粒クール
※販売が終了している商品もあります。
オラキュア錠
成分 6錠中 | 分量 | 内訳 |
---|---|---|
トラネキサム酸 | 750mg | |
カンゾウ乾燥エキス | 198mg | (甘草990mg) |
ピリドキシン塩酸塩 | 50mg | |
リボフラビン | 12mg | |
L-アスコルビン酸ナトリウム | 500mg |
- カンゾウ乾燥エキス:抗炎症成分
- ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6):栄養素からのエネルギー代謝を促進
- リボフラビン(ビタミンB2):栄養素からのエネルギー代謝を促進
- L-アスコルビン酸ナトリウム(ビタミンC)
次の1回量を1日3回,朝昼晩に服用してください。
[年齢:1回量]
成人(15歳以上):2錠
7歳以上15歳未満:1錠
7歳未満:服用しないこと
トラフル錠
成分 6錠中 | 分量 | 内訳 |
---|---|---|
トラネキサム酸 | 750mg | |
カンゾウ乾燥エキス | 198mg | (原生薬として990mg) |
ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6) | 50mg | |
リボフラビン(ビタミンB2) | 12mg | |
L-アスコルビン酸ナトリウム(ビタミンCナトリウム) | 500mg |
次の量を水又はお湯で服用して下さい。
[年齢:1回量:1日服用回数]
成人(15歳以上):2錠:3回 朝昼晩に服用して下さい。
7歳以上15歳未満:1錠:3回 朝昼晩に服用して下さい。
7歳未満:服用しないで下さい。
オラキュア錠とトラフル錠は同じ成分を同じ量含んでいますので、効果は同じです。
値段が安い方を買えば良いです。
ハレナース
成分 1日量(3包:3.9g)中 | 分量 | 内訳 |
---|---|---|
トラネキサム酸 | 750mg | |
カンゾウエキス | 198mg | 原生薬換算量990mg |
ピリドキシン塩酸塩 | 50mg | |
リボフラビン | 12mg | |
L-アスコルビン酸ナトリウム | 500mg |
下記の用量を1日3回、朝昼晩に服用する。
15歳以上 ・・・1回1包
7歳以上15歳未満・・・1回1/2包
オラキュア錠とトラフル錠と同じ成分を同量含んでいますので、効果は同じです。
ハレナースは水なしでも飲めるタイプですので、携帯に便利です。
パブロンのど錠
成分 6錠中 | 分量 |
---|---|
トラネキサム酸 | 750mg |
グリチルリチン酸二カリウム | 63mg |
ニコチン酸アミド | 60mg |
ピリドキシン塩酸塩 | 50mg |
リボフラビン | 12mg |
次の量をかむか,口中で溶かして服用してください。
[年令:1回量:服用回数]
成人(15才以上):2錠:1日3回朝昼晩に服用してください
7才〜14才:1錠:1日3回朝昼晩に服用してください
7才未満:服用しないこと
- グリチルリチン酸二カリウム:抗炎症成分
- ニコチン酸アミド:栄養素からエネルギーをつくる時に体内で働く補酵素。粘膜機能の正常化目的です。
- ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6):栄養素からのエネルギー代謝を促進。これも粘膜機能の正常化目的です。
- リボフラビン(ビタミンB2):栄養素からのエネルギー代謝を促進。同じく粘膜正常化目的での配合です。
抗炎症成分はグリチルリチン酸二カリウムとなっていますが、実はこの成分もカンゾウから抽出されるものです。カンゾウエキスと同じと考えていただいて良いです。
パルウィンTX錠
成分 6錠中 | 分量 | 内訳 |
---|---|---|
トラネキサム酸 | 750mg | |
カンゾウ乾燥エキス | 198mg | (甘草990mg) |
ピリドキシン塩酸塩 | 50mg | |
リボフラビン | 12mg | |
L-アスコルビン酸ナトリウム | 500mg |
オラキュア錠、トラフル錠、ハレナースと同じ成分を同じ量含んでいますので、効果は同じです。
ペラックT錠
成分 | 分量 | 内訳 |
---|---|---|
トラネキサム酸 | 750mg | |
カンゾウ乾燥エキス | 198mg | (原生薬として990mg) |
ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6) | 50mg | |
リボフラビン(ビタミンB2) | 12mg | |
L-アスコルビン酸ナトリウム(ビタミンCナトリウム) | 500mg |
次の量を水又はお湯で服用して下さい。
[年齢:1回量:1日服用回数]
成人(15歳以上):2錠:3回(朝昼晩)
7歳以上15歳未満:1錠:3回(朝昼晩)
7歳未満:服用しないで下さい。
ペラックT錠もオラキュア錠、トラフル錠、ハレナースと同じ成分を同じ量含んでいますので、効果は同じです。
ペラックT細粒クール
成分 | 分量 | 内訳 |
---|---|---|
トラネキサム酸 | 750mg | |
カンゾウ乾燥エキス | 198mg | (原生薬として990mg) |
ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6) | 50mg | |
リボフラビン(ビタミンB2) | 12mg | |
L-アスコルビン酸ナトリウム(ビタミンCナトリウム) | 500mg |
ペラックT細粒クールも、ペラックT錠、オラキュア錠、トラフル錠、ハレナースと同じ成分を同じ量含んでいますので、効果は同じです。
違いは、清涼感のある細粒剤であること。スティックタイプなので携帯にも便利です。
トラネキサム酸含有の市販薬(総合感冒薬)
のどの痛みを取る目的ではなく、総合感冒薬にもトラネキサム酸は配合されています。のどの痛み以外にも発熱やせきなどの症状がある方はこちらがおすすめです。
ベンザブロックせき止め錠
成分 9錠中 | 分量 |
---|---|
ジヒドロコデインリン酸塩 | 30mg |
dl-メチルエフェドリン塩酸塩 | 75mg |
ノスカピン | 60mg |
ブロムヘキシン塩酸塩 | 12mg |
トラネキサム酸 | 420mg |
- ジヒドロコデインリン酸塩:咳止め
- dl-メチルエフェドリン塩酸塩:気管支拡張
- ノスカピン:咳止め
- ブロムヘキシン塩酸塩:去痰
- トラネキサム酸:のどの腫れや炎症を抑える
[年齢:1回量:1日服用回数]
15歳以上:3錠:3回
12歳〜14歳:2錠:3回
12歳未満:服用しないこと
せき止めにジヒドロコデインリン酸塩が使用されていますので、服用できるのは12歳からです。
トラネキサム酸は他の商品よりも少ない420mgです。
ルルアタックEX
成分 6錠(成人1日量)中 | 分量 | 内訳 |
---|---|---|
トラネキサム酸 | 750mg | |
イブプロフェン | 450mg | |
クレマスチンフマル酸塩 | 1.34mg | クレマスチンとして1mg |
ブロムヘキシン塩酸塩 | 12mg | |
dl-メチルエフェドリン塩酸塩 | 60mg | |
ジヒドロコデインリン酸塩 | 24mg | |
チアミン硝化物(ビタミンB1硝酸塩) | 25mg | |
リボフラビン(ビタミンB2) | 12mg |
- トラネキサム酸:のどの腫れや炎症を抑える
- イブプロフェン:解熱鎮痛
- クレマスチンフマル酸塩:鼻水くしゃみを止める
- ブロムヘキシン塩酸塩:去痰
- dl-メチルエフェドリン塩酸塩:気管支拡張
- ジヒドロコデインリン酸塩:咳止め
- チアミン硝化物:ビタミンB1
- リボフラビン:ビタミンB2
のどの痛みや鼻水、痰、発熱を伴うかぜに効果がある総合感冒薬です。
トラネキサム酸含有の市販薬(解熱鎮痛薬)
トラネキサム酸配合の解熱鎮痛薬もあります。
コルゲンコーワ鎮痛解熱LXα
成分 1錠中 | 分量 | 内訳 |
---|---|---|
ロキソプロフェンナトリウム水和物 | 68.1mg | (無水物として60mg) |
トラネキサム酸 | 140mg |
症状があらわれた時,次の量をなるべく空腹時をさけて水又は温湯で服用してください。
服用間隔は4時間以上おいてください。
[年齢:1回量:1日服用回数]
成人(15歳以上):1錠:2回まで。ただし,再度症状があらわれた場合には3回目を服用できる
15歳未満の小児:服用しないこと
解熱鎮痛薬のロキソプロフェンナトリウム水和物とのどの腫れを抑えるトラネキサム酸が入っています。
のどの痛みを取るには良さそうですが、トラネキサム酸の量がちょっと少なめです。ロキソプロフェンナトリウムが入っているのでのどの痛みをしっかりとってくれるでしょう。
イントウェル
成分 1日量(9カプセル)中 | 分量 |
---|---|
イブプロフェン | 450mg |
トラネキサム酸 | 420mg |
乾燥水酸化アルミニウムゲル | 208.5mg |
成人(15歳以上)1回3カプセル 1日3回を限度とし、なるべく空腹時をさけて服用する。服用間隔は4時間以上おくこと
鎮痛カプセルa
成人(15歳以上)1回3カプセル 1日3回を限度とし、なるべく空腹時をさけて服用する.服用間隔は4時間以上おくこと.
イントウェルと鎮痛カプセルaの中身は同じです。
医療用のトランサミン錠と市販薬の違い
医療用と市販薬では違いがあります。
含有成分・含有量が異なる
医療用医薬品のトランサミン錠やその後発品も、含有している有効成分はトラネキサム酸のみです。
それに対し、一般用医薬品はトラネキサム酸に加えて様々な成分が配合されています。
トラネキサム酸単剤の製品は執筆時点では発売されていませんでした。
効能・効果が異なる
効能・効果と言っても、効き目が違うわけではありません。どんな症状に使用できるかです。
医療用医薬品のトランサミン錠は以下の疾患で使用されます。
○全身性線溶亢進が関与すると考えられる出血傾向
(白血病、再生不良性貧血、紫斑病等、及び手術中・術後の異常出血)
○局所線溶亢進が関与すると考えられる異常出血
(肺出血、鼻出血、性器出血、腎出血、前立腺手術中・術後の異常出血)
○下記疾患における紅斑・腫脹・そう痒等の症状
湿疹及びその類症、蕁麻疹、薬疹・中毒疹
○下記疾患における咽頭痛・発赤・充血・腫脹等の症状
扁桃炎、咽喉頭炎
○口内炎における口内痛及び口内粘膜アフター
トラネキサム酸含有の一般用医薬品は配合されている成分によって使用できる症状が異なります。口腔咽喉薬としての市販薬は以下の症状で使用可能です。
咽頭炎・扁桃炎(のどの痛み、のどのはれ)、口内炎
※ペラックT錠より
服用できる年齢が異なる
医療用のトランサミン錠には添付文書上、服用できる年齢に制限はありません。
シロップもありますので小児から使用可能です。
ロキソプロフェンナトリウム水和物やイブプロフェンが配合されていると15歳未満は服用できません。配合されている成分によって服用可能な年齢が異なりますので、製品添付の文書で良く確認をしてください。
トラネキサム酸含有 一般用医薬品のまとめ
- トラネキサム酸は医療用にも使用されている成分です。
- トラネキサム酸単剤の市販薬はありません。
- 口腔咽喉薬としてや総合感冒薬、解熱鎮痛薬など様々な商品に配合されています。
- 不必要な薬を飲まないためにも購入時には薬剤師等によく相談して購入をしてください。
で、結局どれがおすすめなのかということですが。
のどの痛みだけなら、口腔咽頭薬に分類されていてトラネキサム酸が750mg(1日量)入っている、パブロンのど錠やペラックT錠が良いでしょう。
頭痛など他に痛みもあるなら、ロキソプロフェンナトリウムも入っているコルゲンコーワ鎮痛解熱LXαが良いかと思います。
購入時には薬剤師等からの説明をよく聞き、用法用量を守って正しくお使いください。