「ドリエル」を飲んでも眠れません。やっぱり病院に行った方が良いのでしょうか。仕事を休めないので、薬局かドラッグストアで買える他の薬はありませんか?
ドリエルで眠れないようであれば、基本的には受診が必要です。
催眠鎮静作用のある市販薬には『ウット』という商品があります。
『ドリエル』に含まれているジフェンヒドラミン塩酸塩に加えて、ブロモバレリル尿素とアリルイソプロピルアセチル尿素が含まれています。
今回はこの『ウット』という商品を解説していきたいと思います。
<プロフィール>
- 大手調剤薬局の管理薬剤師
- 管理薬剤師歴は10年以上
- 一般用医薬品も幅広く販売
スイッチOTC成分を正しく使って上手にセルフメディケーションをするお手伝いをしていきます。
市販薬(一般用医薬品)のウットってどんな薬
市販薬のウットとは、ブロモバレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素、ジフェンヒドラミンの3成分を含有している催眠鎮静薬で伊丹製薬株式会社が製造販売しています。
ストレスなどによる精神の興奮や神経衰弱などの鎮静を目的とした市販薬です。
成分 3錠中 | 分量 |
---|---|
ブロモバレリル尿素 | 250mg |
アリルイソプロピルアセチル尿素 | 150mg |
ジフェンヒドラミン塩酸塩 | 25mg |
1日1〜3回食後に服用して下さい。
[年齢:1回量]
大人(15才以上):1錠
15才未満:服用しないこと
ブロモバレリル尿素とは
ブロモバレリル尿素は、緊張、興奮、イライラ感に対する鎮静作用、催眠作用、抗けいれん作用を示す成分。
鎮痛補助作用もあるので鎮痛薬に配合されることもある。日中の眠気と反復摂取による依存性に注意が必要。
医療用としても使われている成分ですが、睡眠薬として処方される例はほとんどありません。
「習慣性医薬品」に指定されています。
アリルイソプロピルアセチル尿素とは
アリルイソプロピルアセチル尿素も緊張、興奮、イライラ感に対する鎮静作用があります。また、痛みに伴う不安、不快感の除去を目的として頭痛薬に配合されることもあります。
薬疹の副作用報告が多い薬剤の一つ。
「習慣性医薬品」に指定されています。
この成分も日中の眠気と反復摂取による依存性に注意が必要です。
医療用ではSG配合顆粒にアリルイソプロピルアセチル尿素が含まれています。
ジフェンヒドラミン塩酸塩とは
ジフェンヒドラミン塩酸塩は、第一世代の抗ヒスタミン薬です。脳の視床下部にある興奮性ニューロンを抑制するため催眠鎮静作用があります。特にジフェンヒドラミン塩酸塩は催眠鎮静作用が強い性質があります。
その副作用である催眠鎮静作用を利用して市販されたのが「ドリエル」などの睡眠改善薬です。
ジフェンヒドラミン塩酸塩は連用すると、眠気がほとんどなくなるという報告もあります。睡眠改善作用を目的として使用する場合には連用しないようにしましょう。
ジフェンヒドラミンについては、【ドリエル】の記事で解説していますのでご覧ください。
ウットの危険性は?
頭痛,精神興奮,神経衰弱,その他鎮静を必要とする諸症に使用できますが、一時的な使用に留めておきましょう。
習慣性がある
ブロモバレリル尿素とアリルイソプロピルアセチル尿素という、反復服用で依存性のある成分が2種類含まれています。
ウットを飲んでも効果が無い、または悪化する場合には医療機関への受診が必要です。
以下の症状以外では絶対に使用してはいけません。
頭痛,精神興奮,神経衰弱,その他鎮静を必要とする諸症
服用できる年齢
ウットを服用できるのは15歳以上です。
量を減らしても15歳未満に飲ませることはできません。
ウットを使用してはいけない人
1.本剤を服用している間は,次のいずれの医薬品も使用しないで下さい
他の鎮静薬,かぜ薬,解熱鎮痛薬,鎮咳去痰薬,乗物酔い薬,抗ヒスタミン剤を含有する内服薬等(鼻炎用内服薬,アレルギー用薬等)
2.服用後,乗物又は機械類の運転操作をしないで下さい
(眠気等があらわれることがあります。)
3.授乳中の人は本剤を服用しないか,本剤を服用する場合は授乳を避けて下さい
4.服用前後は飲酒しないで下さい
5.過量服用,長期連用しないで下さい
ウット(市販薬・一般用医薬品)のまとめ
- ウットに含まれている3成分はいずれも医療用として用いられています。
- 3成分のうち2成分には習慣性がありますので、長期連用や過量服用をしてはいけません。
- ウットを服用しても効果が無い場合は医療機関の受診をおすすめします。
- 眠気が出ますので服用後に運転はしないでください。