病院に行かなくても薬局で買える、医療用と同じ成分の市販薬を調剤薬局の管理薬剤師が解説します。

インタール点鼻液(クロモグリク酸ナトリウム)は処方せん無しで買える?

インタール点鼻液(クロモグリク酸ナトリウム)は処方せん無しで買える?
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以前病院でもらっていた『インタール点鼻液』が製造中止になってしまったそうです。その薬と同じ薬って処方せんが無くても薬局やドラッグストアで購入できますか?

インタール点鼻液』ですね。
医療用のインタール点鼻液は製造中止になってしまいましたが、ジェネリック医薬品ならまだ医療用に残っています。

今回は『インタール点鼻液(成分名:クロモグリク酸ナトリウム)』と同じ成分の点鼻薬が一般用医薬品として購入できるか解説していきます。

この記事書いた人
phama_di(ファマディー)

<プロフィール>

  • 大手調剤薬局の管理薬剤師
  • 管理薬剤師歴は10年以上
  • 一般用医薬品も幅広く販売

スイッチOTC成分を正しく使って上手にセルフメディケーションをするお手伝いをしていきます。

医療用『インタール点鼻液』と同じ成分のクロモグリク酸ナトリウムは1997年にスイッチ化され、一般用医薬品として発売されました。

処方せんが無くても薬局やドラッグストア、インターネットで購入可能です。

医療用(先発品):なし インタール点鼻液2% 2021年3月末日で薬価削除

医療用(後発品):クロモグリク酸Na点鼻液2%

目次

クロモグリク酸ナトリウムってどんな薬?

クロモグリク酸ナトリウムはケミカルメディエーター遊離抑制薬に分類される抗アレルギー薬です。

原因物質となるヒスタミンの遊離を抑制することで、鼻水やくしゃみ、鼻づまりなどの症状を抑えます。

クロモグリク酸ナトリウムの効果はステロイド点鼻薬より弱いと言われていますが、妊娠中や授乳中でも使用できるなど安全性の高い成分です。

ステロイド点鼻薬はこちらをご覧ください。

医療用の『クロモグリク酸Na点鼻液2%』と同じ成分の一般用医薬品は購入可能

クロモグリク酸ナトリウム含有の一般用医薬品は以下の通りです。

  • アスゲン点鼻薬AG
  • エメロットALGプラス点鼻薬
  • エージーノーズアレルカットC
  • エージーノーズアレルカットM
  • エージーノーズアレルカットS
  • スカイブブロンAGスプレー
  • スットモアAG点鼻薬プラス
  • タイヨー鼻炎スプレーAG
  • ベルダサポートAG点鼻薬
  • モーテンAG点鼻薬
  • ロートアルガードST鼻炎スプレー
  • 点鼻薬ALプラス
  • 点鼻薬ALプラスクール

調査の結果、これらの商品の全てに血管収縮剤が配合されていました。
残念ながらクロモグリク酸ナトリウム単剤の点鼻薬は販売されていないということです。

血管収縮剤の点鼻薬についてはこちらもご覧ください。

アスゲン点鼻薬AG

成分 100mL中分量
クロモグリク酸ナトリウム1g
クロルフェニラミンマレイン酸塩0.25g
ナファゾリン塩酸塩0.025g
  • クロルフェニラミンマレイン酸塩:アレルギーを抑え、鼻水を止めます。
  • ナファゾリン塩酸塩:血管を収縮させて鼻づまりの症状を改善させます。

[年齢:1回使用量:1日使用回数]
成人(15歳以上):1噴霧ずつ:3〜5回(3時間以上の間隔をあけること)
7歳〜15歳未満:1噴霧ずつ:3〜5回(3時間以上の間隔をあけること)
7歳未満:使用しないこと
3日間使用しても症状の改善がみられない場合には,使用を中止し,医師又は薬剤師にご相談ください。

血管収縮剤を過度に使用すると、かえって鼻づまりを起こすことがありますので連用してはいけません。

ナファゾリンが入っていなければ良い薬なのですが。

以下の症状に使用可能です。

花粉,ハウスダスト(室内塵)等による次のような鼻のアレルギー症状の緩和:鼻水(鼻汁過多),鼻づまり,くしゃみ,頭重(頭が重い)

エメロットALGプラス点鼻薬

成分 100mL中分量
クロモグリク酸ナトリウム1g
ナファゾリン塩酸塩0.025g
クロルフェニラミンマレイン酸塩0.25g
ベンゼトニウム塩化物0.02g
グリチルリチン酸二カリウム0.3g
  • ベンゼトニウム塩化物:鼻腔内の殺菌・消毒をし、炎症の改善をたすけます。
  • グリチルリチン酸二カリウム:アレルギー反応による鼻の炎症をしずめます。

[年令:1回量:1日使用回数]
成人(15才以上)及び7才以上の小児:1度ずつ噴霧:3時間以上の間隔をおいて,3〜5回
7才未満:使用しないこと

アスゲン点鼻薬AGよりも2つ成分が多く入っています。成分が多ければ良いというわけではありません。この2成分で劇的に効果があるかと言われれば疑問です。

エージーノーズアレルカットC

成分 100mL中分量
クロモグリク酸ナトリウム1g
クロルフェニラミンマレイン酸塩0.25g
ナファゾリン塩酸塩0.025g
グリチルリチン酸二カリウム0.3g

エージーノーズアレルカットS

成分 100mL中分量
クロモグリク酸ナトリウム1g
クロルフェニラミンマレイン酸塩0.25g
ナファゾリン塩酸塩0.025g
グリチルリチン酸二カリウム0.3g

エージーノーズアレルカットM

成分 100mL中分量
クロモグリク酸ナトリウム1g
クロルフェニラミンマレイン酸塩0.25g
ナファゾリン塩酸塩0.025g
グリチルリチン酸二カリウム0.3g

エージーノーズアレルカットシリーズの違い

エージーアレルカットC・S・Mは何が違うのでしょうか?

含有成分と量は全て同じです。違いは以下の通りです。

  • エージーノーズアレルカットC:すっきりクールな使い心地。
  • エージーノーズアレルカットS:しみないソフトな使い心地。
  • エージーノーズアレルカットM:患部に留まり液ダレしにくい、モイストタイプの点鼻薬です。

好みで選べば良いでしょう。どれを選んでも効果は同じです。

スカイブブロンAGスプレー

成分 100mL中分量
クロモグリク酸ナトリウム1000mg
クロルフェニラミンマレイン酸塩250mg
ナファゾリン塩酸塩25mg

記載されている分量の単位が違いますが、成分量は他製品と同じです。


スットモアAG点鼻薬プラス

成分 (100mL)中分量
クロモグリク酸ナトリウム1.0g
クロルフェニラミンマレイン酸塩0.25g
ナファゾリン塩酸塩0.025g
グリチルリチン酸二カリウム0.3g

グリチルリチン酸二カリウムが入っているだけで、他は同じですね。


タイヨー鼻炎スプレーAG

成分 100mL中分量
クロモグリク酸ナトリウム1g
クロルフェニラミンマレイン酸塩0.25g
ナファゾリン塩酸塩0.025g

定番の3成分含有です。


ベルダサポートAG点鼻薬

成分 100mL中分量
クロモグリク酸ナトリウム1g
クロルフェニラミンマレイン酸塩0.25g
ナファゾリン塩酸塩0.025g

これも3成分が同じ量入っています。

モーテンAG点鼻薬

成分 100mL中分量
クロモグリク酸ナトリウム1g
クロルフェニラミンマレイン酸塩0.25g
ナファゾリン塩酸塩0.025g

こちらも3成分が同量入っています。


ロートアルガードST鼻炎スプレー

成分 100mL中分量
クロモグリク酸ナトリウム1g
ナファゾリン塩酸塩0.025g
クロルフェニラミンマレイン酸塩0.25g
ベンゼトニウム塩化物0.005g

定番の3成分に消毒薬のベンゼトニウム塩化物が配合されています。これが入っているから良いというものでもありません。


点鼻薬ALプラス

成分 100mL中分量
クロモグリク酸ナトリウム1g
ナファゾリン塩酸塩0.025g
グリチルリチン酸二カリウム0.3g
クロルフェニラミンマレイン酸塩0.25g
ベンゼトニウム塩化物0.02g

エメロットALGプラス点鼻薬と同じです。


点鼻薬ALプラスクール


点鼻薬ALプラスにl-メントールが入ったクールタイプです。含有成分は点鼻薬ALプラスと同じです。

医療用の『クロモグリク酸Na点鼻液2%(成分名:クロモグリク酸ナトリウム)』と一般用医薬品の違い

医療用で使われている『クロモグリク酸Na点鼻液2%(成分名:クロモグリク酸ナトリウム)』と一般用医薬品の違いがあります。

含有成分が異なる

医療用のクロモグリク酸Na点鼻液2%に含まれている有効成分はクロモグリク酸ナトリウムのみです。

それに対し、市販薬ではナファゾリン塩酸塩(血管収縮剤)やクロルフェニラミンマレイン酸塩(抗ヒスタミン薬)などが配合されています。

効能・効果が異なる

効能・効果とは、使用できる疾患の範囲の事。薬の強さではありません。

医療用の『クロモグリク酸Na点鼻液2%(成分名:クロモグリク酸ナトリウム)』は以下の疾患に使用可能です。

アレルギー性鼻炎

それに対し、一般用医薬品では、以下の症状で使用可能です。

花粉,ハウスダスト(室内塵)等による次のような鼻のアレルギー症状の緩和:鼻水(鼻汁過多),鼻づまり,くしゃみ,頭重(頭が重い)

これは配合されている成分が異なることによります。

使用できる年齢が異なる

医療用のクロモグリク酸Na点鼻液2%(成分名:クロモグリク酸ナトリウム)は添付文書上、年齢制限はありませんでした。

それに対し、クロモグリク酸ナトリウム含有の一般用医薬品点鼻薬は7歳から使用可能です。

クロモグリク酸ナトリウム含有の一般用医薬品(点鼻薬)を購入する際の注意

クロモグリク酸ナトリウム含有の点鼻薬を使用できない方もいます。購入の際には薬剤師等に確認をお願いします。

1.次の人は使用しないでください
  本剤又は本剤の成分によりアレルギー症状を起こしたことがある人。
2.使用後,乗物又は機械類の運転操作をしないでください
 (眠気等があらわれることがあります)
3.長期連用しないでください

※7歳未満は使用できません。

※点鼻薬ALプラスクール

製品によって注意点が異なりますのでご注意ください。

まとめ

  • 医療用のクロモグリク酸Na点鼻液2%と同じ成分の一般用医薬品が販売されています。
  • 商品によって、配合されている成分が異なりますので症状に応じて選択が必要です。
  • ここで紹介した商品は全て7歳未満は使用できません。
  • ナファゾリン塩酸塩は血管を収縮させます。鼻閉が悪化することがあるので連用は止めましょう。

薬剤師等に十分説明を受けたうえで購入し、用法用量を守って正しくお使いください。

クロモグリク酸ナトリウム自体は良い成分なのですが、血管収縮剤が配合されているのが残念です。使いすぎで鼻閉が悪化して耳鼻科受診をしている方も少なくありません。

一時的な症状を止めるだけならこれらの商品のうち、一番安いもので良いでしょう。しっかり治したいのであれば血管収縮剤が入っていないステロイド点鼻薬をおすすめします。

血管収縮剤が入っていないステロイド配合点鼻薬はこちらをご覧ください。

血管収縮剤が入っていないアレルギー用の点鼻薬はこちらをご覧ください。

インタール点鼻液(クロモグリク酸ナトリウム)は処方せん無しで買える?

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一般用医薬品購入時の注意点

このサイトでは病院でもらう薬と同じ成分の薬を処方せん無しで購入できるかどうかを紹介していますが、その薬を推奨している訳ではありません。

体質や服用中の薬によっては使用できないものもあります。

一般用医薬品を購入する際には医師・薬剤師・登録販売者に相談をしてください。

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この記事を書いた人

pharma_di(ファマディー)
大手チェーン調剤薬局の管理薬剤師。
保険調剤だけでなく市販薬の販売も行っています。

国は医療費削減のため、これからセルフメディケーションを推奨してくるはず。これから自己負担の割合も3割から上がるかもしれません。

この記事を読んでくれた皆様が上手なセルフメディケーションができるよう、薬剤師という立場から市販薬を選ぶポイントを解説しています。

他にも、薬剤師のための転職ブログ(ファマブロ)も運営しています。

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